折々に思うこと その9

 今回は、本園が「認定こども園」として一日どのように回っているのか、また、その中で園長はどう立ち回っているのか、少しお話ししましょう。
 園の朝は、7時から始まります。
両親ともに就労しておられる家庭で、早いところは朝7時過ぎにはお子さんを預けに来られます。
本園は、最長、朝の7時から夜の7時までお子さんをお預かりしています。
そのために、7時には早出の職員が2人ほど園に待機してお子さんを待っています。
 私は8時20分ごろ出勤します。
前日の「園日誌」を点検したり、その日に休みを取っている職員を確認したりして、一息ついた後、8時30分になったら理事長さんと玄関の入り口に立って登園してくる園児達を迎えます。
「〇〇君、おはよう。ママ、おはようございます」、「△△ちゃん、おはよう。パパ、おはようございます」。
親子にご挨拶です。
直接子どもさんや親御さんと挨拶を交わしたり、ちょっとした立ち話をしたりすることはとても大切なことだと、実際に立ってみて実感します。
私と挨拶を交わす親子の様子(挨拶時の声の調子や顔の表情、しぐさ等)を見ると、その家庭の最近の空気が読めることが多いのです。
「先日の運動会は、お子さん大活躍でしたね」、「芋掘りに行ったときの絵をいきいきと描いていましたよ」、「担任の先生の話によると、スイミング教室で顔を付けてバタ足をすることができたとか」等々、なるべくプラスの話を心がけています。
そんなときのママやパパの顔は最高です。
でも、時には、「お子さんのことで何か心配な事がありますか?」、子どもさんの少し冴えない表情を見ると、「お子さん、幼稚園が嫌だと言っていませんか?」、「昨日、おうちで何かありました?」とお尋ねすることもあります。
毎朝会っていると『今日はいつもとちょっと違うな』と感じることがあるのです。
そんな時、ちょっとした言葉かけをすると、親御さんや子どもさんの心がほぐれることも。「ちょっとした」ことなんですが。
 全園児の登園を確認した後、私は職員室に戻り、各担任の先生が提出している「保育日誌」を読ませてもらいます。
2歳児のばら組から年長組まで7冊の日誌に目を通します。
私はこのひとときを結構大切にしています。
たっぷり1時間近くかけます。
昨日はどういう状況で一日が過ぎていったのか、どんな心弾むことがあったのか、担任を悩ますどんなことがあったのか、それらを担任はどのように受け止めているのか等々。
子ども達の成長の姿がよく分かりますし、各担任の保育士としての成長の過程もよく分かるのです。
『読まれることを意識して、きれいごとばかり書いてはならない。
困っていることはそのまま、できなかったこともそのまま書きなさい』と指導しています。取り繕った文面を書いてもほとんど意味はありません。
就学前の子ども達のクラスを担任していて、うまくいくことばかりあるはずがないのです。
 保育日誌を読んだら、次はパソコンを開いて、園に来ているメールのチェックです。外部からの園宛のメールは全て私のパソコンに来ます。
その中で大切なものはプリントアウトして担当職員に回します。
各方面から1日あたり10件ほどのメールが来ますので、数日溜めているとたいへんな数になります。最近は怪しそうなメールも時折。
 11時になると調理室から「検食」が来ます。
その日の給食を私が1時間ほど前に試食し、園児に食べさせてよいかどうかを判断するものです。
もっとも、栄養士さんがカロリー、塩分、食材のバランス等計算調整した上で調理されたものですから、今まで「ノーサイン」を出したことはありません。
これまでが午前中の園長の動きです。

 昼休みを過ごしたら、各教室を覗いたり、来客の対応をしたり、次の週や次の月の活動や行事の確認をしたりします。
我が園は、通園バスを2台持っていますので降園時には園児の乗ったバスを見送ったりもします。
金曜日には、週1回の職員会議もあり、各クラスの様子を直接担任から聞きます。
これも楽しみの1つ。
 それやこれやで、結局私は時計が5時を打つ音を聞いて園を出るようにしています。他の職員もおおむね5時過ぎには退勤しますが、最初に書きましたように、我が園は最長7時まで就労家庭の子どもさんを預かっていますので、遅出の職員が2人ほど残って最後の子どもさんをお迎えの親御さんに渡し、今日の仕事は終了という運びになります。

 以上、認定こども園鳴鼓幼稚園の一日の大まかな動きと、私のさして大したことのない仕事ぶりを紹介いたしました。失礼します。