折々に思うこと その16
うっとうしい日が続きます。子ども達も外遊びがなかなかできず、室内遊びで代替していますが、うっぷんは相当溜まっているようです。
先生達もアイディアを凝らし、梅雨明けまでの毎日の天気を予想させてカレンダーに書き込ませ(明日は晴れか、曇りか、雨か)、当たる確率を競わせたり、アジサイのちぎり絵を作らせたり、天から落ちてくる雨粒を折り紙でそれらしく作らせたり、はたまた、紙にマーカーで描いた図案を降ってくる雨にさらしてにじみ絵を作らせたりなど、逆転の発想で梅雨の時季をそれなりに楽しんでいます。
長雨も早くあがってほしいとは思いますが、あがればいよいよ灼熱の太陽が待っていますよね……。
私は、中学校に勤めていたころから、本や新聞に「これはいい文章だ!いい表現だ!」というものを見つけたら、コピーしたり、切り抜いたりしてノートに貼り、時折読み返して、心を豊かにしたり、気を引き締めたりしています。
そのノートはこれまでに20冊ほども溜まっているでしょうか。
今回はその中からいくつかを紹介します。
まず、「私のお母さん」という詩です。これは、NCC長崎文化放送が主催している、子ども達が家族への思いを詩で表現する「お母さんの詩コンクール」で最優秀賞に選ばれた作品です(平成29年度のもの)。
書いたのは、当時長崎市立畝刈(あぜかり)小学校4年生の女の子です。
『私のお母さん』
私のお母さんは仕事に行く時、作業着を着ていく。
とても目立つ。 お友達のお母さんはきれいなかっこう。
私は少しはずかしい時があった。
お母さんが学校に来るときは、作業着を着てこないでとやくそくしていた。
お母さんの会社に行くことがあった。
お母さんは重そうな荷物を大きいトラックから降ろすためにフォークリフトという機械に乗って荷物を降ろしていた。
私と妹が車の中で見ていてびっくりしているとお母さんの会社のお兄さんが私達のところに来て「お母さんすごかろう。
会社の中でもフォークリフトに乗れる人、何人かしかおらんとばい」と言った。
お母さんの作業着をはずかしいと思ったことをこうかいした。
「お母さん、ごめんね」と、心の中で思った。
私のお母さんは、恥ずかしくないし、かっこいいです。
じっくり余韻を味わってください………。
もう1つ紹介します。
次の作品は、長崎新聞に掲載されていた読者からの投稿の欄で見つけたものです(平成27年のもの)。
書き手は長崎市内に在住の当時72歳のH子さんです。
『バスの運転手さんの注意、見事』
先日あったバスの中のできごとです。
座席はたくさん空いているのに、1人掛けの席に中学生ぐらいの娘さんが座って、その横に母親らしき人が立っていました。
母親はスマホをやっていて、私はバスが揺れる度に「座って、座って」と心の中で思っていました。
見かねた運転手さんが「立ってスマホをやっている女性の方、危ないからつかまってください」と注意しました。
しかし、その母親は知らぬふりをしていました。
明らかに聞こえているのにスマホの操作をやめませんでした。
しばらくして運転手さんは再度こう言いました。
「お母さん、娘さんと替わって、座ってスマホしてください」運転手さんの注意の仕方は最高でした。
乗り合わせていたみんながうなずいたように見えました。
しかし、それでも母親は最後まで知らんぷりでした。
娘さんはモジモジして恥ずかしそうに下を向いていました。
これこそ反面教師ですよね。
運転手さんの怒りを抑えた注意の仕方は勉強になりました。
お母さん、子どもの手本になってくださいね。
次からは。
ある日乗ったバスの中での一風景。
どこでも見られるような一コマです。
公共の施設や乗り物の中での身の処し方は、皆さん、それぞれ気を使われることが多々あると思いますが、少なくとも周囲に迷惑をかけたり、不快な思いをさせたりしてはならないというのは常識をわきまえた人の考えですよね。
運転手さんの注意を無視し続けたこのお母さん、娘さんにこれからどんな人としての指南をされるのでしょうか。
どうでしたか。
私の心に残った2編の作品、皆さんの心にも何かを届けたでしょうか。
よければ、こんな形で時々園長の心に響いた詩や文章をお伝えしてもいいでしょうか。
今日はこれで失礼します。