折々に思うこと その18
今年も暑い夏でしたね。
最近は、テレビのニュースでの気象情報の際、気象予報士さんが「厳しい暑さが当分続きます。
エアコンは朝までつけっ放しにしてお過ごしください」と言われたのを聞いて、『ここまできたか!』と思いました。
夏の風物詩と言われる「全国高等学校野球選手権大会(通称甲子園大会)」でも運営の仕組みに変化が現れています。
まず、大会1日目~3日目までは、試行として午前中と夕方に分けて試合が行われました。
酷暑の中での試合は避けるということでしょう。
5回が終了したら「クーリングタイム」なるもの(10分間)を設けて、ベンチ裏で水分をとりながら休息する。
9回が終わっても決着がつかない場合は、10回からはお互いに早く点数が入るように無死1・2塁から両チームとも攻撃を始める(タイブレーク制)等々。熱中症等から選手たちを守るための措置でしょう。
中には、甲子園で開催するのではなく、日差しを避け、エアコンの効いたドーム球場で開催したらどうかという意見もあったそうですが、これについては当の球児達から反対の声が上がりそうに思います。
今年もテレビ観戦をよくしましたが、試合中に気分が悪くなったり、足がつって倒れこんだりした選手を何人も見ました。
熱い心意気で取り組む夏の高校野球。
地球環境の変化にどう対応していったらいいのでしょうか。
さて、夏休みは先生たちにとっては充電期間です。
学期をじっくり振り返ったり、研修に打ち込んだり、行事の多い2学期の準備をしたりするときになります。
有給休暇も有効に取得しなさいと言っています。
そのようにしているようです。
私も、この夏、県や市の幼稚園協会が主催する研修会に3回ほど参加しましたが、その中から去る8月23日(金)に行われた研修会について報告したいと思います。
「研修」という言葉は、「研究」の『研』と「修養」の『修』を組み合わせた言葉です。
「研究」とは、幼稚園教諭としての知識と指導技術を身につけるためのもの、「修養」とは、社会人としての幅広い教養を養うためのものであり、どちらも職業人として重要であると私は思っています。
今回の研修会は、講師に読売新聞東京本社の編集委員である二階堂さんという方を招聘し、「現代に生きる私たちは、ネット上に溢れる種々雑多な情報とどう向き合うか、新聞との比較で考える」というテーマで各幼稚園の主任の先生方を対象に実施しました。
講師の二階堂さんは、実は私が中学校の教員をしていた時の教え子さんです。
担任をしたり、授業で教えたりということはなく、私が顧問をしていた野球部の選手でした。
ポジションはチームの要であるキャッチャー、チームをまとめるキャプテン、そして攻撃の核である4番打者として存在感を放ちました。
学業成績も群を抜いてよく、高校卒業後、都心の大学に進学し、その後読売新聞に入って、現在まで社の主力記者として活躍中です。
数年に一度、彼が来崎したり、私が出張等で上京したりする折に会って、酒を飲みながら歓談する間柄でしたが、私からの要請を快諾してくれ、8年ぶりに長崎まで来てくれました。
講演はもちろん私も拝聴しましたが、後で本人に聞くと、「どうも先生の視線が気になっていました」と言っていました。
中学時代に有無を言わさず、しごきにしごかれた先生というのは年をとってもそんなものなのでしょうかね。
以下、講演の要点を列挙します。
〈新聞記事の作られ方〉
〇 基本的にできるだけ「人」に会う。情報を持っているのはやはり「人」である。
〇 記事に関係する事実関係やデータなどは、官公庁の統計や大手シンクタンクの信頼できる調査などで必ず確認する(ウラをとる)。
〇 記者が書いた原稿はデスク(上司)、校閲が必ずチェックする。
〈ネット情報の特徴〉
〇 いつもほぼリアルタイムで最新情報を手元で確認できる。
〇 事件やできごとを自分の興味・関心で追いかけてしまう傾向にある。
〇 できるだけ多くの注目を集めようという意図で情報が作成されることが多い。
〇 ついつい発信者と似たような考え方にとらわれやすくなる。
〇 生成AIの登場によって情報がより簡単に作れるようになった。
〈ネット情報に惑わされないために〉
〇 情報源の記載があるかどうかを確認すること。
〇 情報の発信者が信頼できる人かどうかを確認すること。
〇 私たちはだまされやすく、偏りやすいという自覚を持つこと。
〇 一度立ち止まって考えること。
終了後は、会場から歩いて数分の肴のおいしい居酒屋にて2人で慰労会をし、怪気炎を上げました。
酒で更に滑らかになった彼の口から出た言葉の数々に学ぶことも多かったです。
またの再会を約束して、翌日、彼は東京へ帰っていきました。