折々に思うこと その21

 通勤途中の街路樹(「ナンキンハゼ」と思われます)の葉が、やっと色づき始めました。
遅い晩秋の一風景ですね。
 また、拙宅の庭に植えている「紫(し)モクレン」の葉が、今ものすごいスピードで落葉しています。
結構な大木なので、葉の数も半端ではなく、掃いても掃いてもきりがありません。
20年ほど前でしょうか、秋の植木市で買ってきた苗を庭の片隅に植えたところ、あれよあれよという間に大きくなり、今では幹の直径が30センチほど、高さが2階の屋根瓦を越すほどになってしまい、落葉の時期になると、この大木が遠慮会釈なく葉をあたり一面に散らすのです。
『桐一葉(ひとは) 落ちて天下の 秋を知る』のような風情はありません。
あと2週間ほどは、落葉との格闘が続きます。

 さて、長かった2学期もあと一月。
8日にメインイベント「おゆうぎ会」、19日に「もちつき」、そして20日に「終業式」をして一応終了になります。
一応というのは、ご両親とも就業されているご家庭は、暮れの28日までお子さんをお預かりする(預かり保育)ようにしているからです。

 今回は、幼稚園の運営を支えてくださっている方々について少しお話ししたいと思います。
鳴鼓幼稚園には園児送迎用のバスが2台あり、朝と午後、フル回転で子ども達を運んでくれています(「なづみ号」と「うさぎ号」です)。
バスが2台なので運転士さんも2人、添乗員さんも2人いらっしゃいます。
この運転士さんと添乗員さんの勤務がちょっと変形なのです。
 まず、この4人は、毎朝7:30までには出勤されます(他の職員は8:15までに出勤)。
始業点検、運転士さんのアルコール検査、今日乗車する園児の確認などを済ませて、7:45に運転スタート。
園の活動が9:30から始まるので、それまでそれぞれ2回ずつ(第1便と第2便)バスを回します。
基本的にはバスを利用する園児の自宅近くまで行って乗せるようにしています。
帰りは、14:30から16:30頃まで、これもそれぞれ2回ずつ回ります。
このように朝約2時間、帰りも約2時間の仕事となります。
つまり、9:30~14:30まではぽっかり空くという変則的な勤務体系です。
これもなかなか難しい働き方です。
午前中の勤務が9:30ごろ終わっても、後はフリーという訳ではない。
午後の勤務が控えている訳です。
午前中2時間、午後2時間の計4時間の仕事ですが、結構「拘束される感」があり、あまり1日の自由はききません。
4人は、朝の仕事が終わると一旦帰宅され、家の仕事をされたり、休息されたり。
お昼をとられ、一服された後14:00過ぎに再び出勤されます。
つまり、園から自宅が遠い所にある方は少々都合が悪いということになります。
園の近くにお住まいで、部分的な勤務ができる方と条件が限られてきます。
これまで何年か務められた後、諸般の事情(年齢的なものや家庭の事情など)でお辞めになる方もありましたが、後任は簡単には見つかりません。
今の4人の方々にはできるだけ長く働いてほしいと願っています。

 先日は、添乗員さんが1人所用でお休みになったので、代わりに私が添乗しました。
朝は、それぞれの家の近くで待っている園児を一人一人拾っていきます。
「あれ!なんで園長先生が乗ってるの?」という顔をする園児とママ、パパ達。
驚いた表情がおもしろいです。
最初は物静かだったバスの中も、人数が増えてくれば、わいわいがやがやと賑やかに。
私に話しかけてくる園児も結構います。
3人ほどから同時に話しかけられると、聖徳太子ではないので、さすがに聞き取ることは難しいです。
予定の人数を乗せると、バスは幼稚園へ。
玄関前で1人ずつ降ろします。
 帰りは、逆に、バスが一時停止する毎に「お待たせしました。また明日ね。さようなら」と言って園児をお渡しします。
最後の園児を降ろすと、バスの中は添乗員と運転士だけになります。
「大事なお子さん方を今日も無事にお返しできた」というほっとした気持ち。
園まで帰ってくるバスの中でのくつろいだ会話もなかなかいいものです。

 私は、普段は園の玄関前の道路に出て、親御さんと登園してくる子ども達を迎えるようにしています。
親御さんと一緒に登園する園児は全園児の約半数ほど。
後の半数の園児の親御さん方(つまりバスを利用されるご家庭)とは普段なかなか挨拶を交わしたり、ちょっとした会話をしたりする、つまり交流する機会がありません。
そこで、添乗員さんがお休みを取られた時はチャンスなのです。
園児を乗り降りさせるわずかな時間ですが、笑顔でのあいさつと、一言、二言言葉を交わす。
この時間を園長として大事にしたいと思っています。
それでは、今日はこのあたりで失礼します。