折々に思うこと その31
いよいよ今年も酷暑のドアが少しずつ開き始めた感じがします。
この原稿を書き始めたのは6月20日ですが、あと10日もするとどうなっているのか。
この原稿は7月1日にホームページに掲載しますので、そのときにはかなりの暑さになっているかもしれませんね。
人類はこれまで地球環境に対してとんでもないことをしてきたのかもしれません。
温暖化の原因の1つと言われている化石燃料(石炭、原油等)を大量に消費して、その結果二酸化炭素を大量に排出しているいくつかの大国が、この問題に背を向けています。
自国の国益はもちろん大事ですが、自国ファーストオンリーは後々決してよい結果をもたらさないでしょう。
そんな中でも今を生きる私たちは、この暑さをしのいでいかなければなりません。
みなさん、空からお日様が容赦なく照り付ける日々がもうじき来そうですが、気合を入れてがんばりましょう。
今回も出だしは私事で恐縮です。
年を取ったせいでしょうか、睡眠のとり方が、若い頃のように一旦寝たら朝までぐっすり、とはいかなくなりました。
途中で2回ほど目を覚まします。
だいたい2~3時間間隔くらいが多いです。
目を覚ましたら、近くに置いているラジオの「NHKラジオ深夜便」をしばらく聞きます。今朝、4時過ぎに流れていた(私はラジオを付けっ放しで寝る癖があります)番組は「明日への言葉」だったでしょうか。
俳優の笹野高史(ささの たかし)さんが出ていらっしゃいました。
みなさん、笹野さんという俳優さんをご存じでしょうか。
かなり年配の俳優さんで、渥美 清(あつみ きよし)さん扮する『男はつらいよ』によく出演される方です。
これまでに全作の内10作ほどに出たとおっしゃっていました。
頭髪もかなりまばらで、ちょうど商品に貼られている「バーコード」のようになっている方です。
同年代の俳優さんとしては、佐藤B作さん、柄本明(えもと あきら)さんらがいらっしゃるそうです。
俳優として『いつかは主役を張って舞台や銀幕で輝いてみたい』というのが若い頃からの夢だった。
しかし、なかなかその機会は巡って来ず、下積みの時代が相当長く続き、夢をあきらめかけたときもありました、と話しておられました。
以下笹野さんの述懐です。
‥‥陽の当らない日々が続いた中で、一度だけ主役が巡ってきたことがありました。
『チャンス!』と一生懸命に取り組んだつもりでしたけれど、演じる中で、自分で自分に『これはちょっと違うぞ』という違和感を感じました。
『主役はどうも自分の分(ぶん)ではない』、『主役はどうも自分には似合わない』と悟りました。
そしてたどり着いたのは、『これからの自分の役者人生は、作品に味を添える脇役でいこう』でした。
これは大きな転機だったと思います。
そして、そう決心した以上はそれに徹する演技を続けてこられたのでしょう。
一役者としての矜持を感じますね。
妙な色気は出さず、己の決めた道を貫く。
下記の句に通じる思いでしょうか。
『去年(こぞ)今年 貫く棒の 如きもの』 高浜 虚子
※ 時間の流れは、一本の棒のように連続している。
そのように、自分の信念生き方もぶれずに貫かれている。
笹野さんの演技はユーモラスで、客席に自然に笑いが起きます。
笹野さんを使う監督さんは、そんな持ち味をそのまま出してもらいたいという思いで起用し続けているのでしょう。
出演される時間は決して長くはありませんが、「今回はどんな役柄で出てきて、どう演じられるのかな」と、観る人を楽しみにさせる存在。
ここまで至るには、相当の悩み、迷いなど葛藤があったことと思います。
家庭や学校、職場には、周囲にくつろぎを与える潤滑油のような人、みんなの背中をそれとなく押してくれる人、その場の空気をピリッとさせる人など、いろいろな役回りの人達がいます。
私もそんな役割を担う一人になりたいと思います。
今日は、このあたりで失礼します。