折々に思うこと その32

 今日は、園バスの添乗員さんがお休みだったので、私が朝のバス(なづみ号)に乗りました。なづみ号の運転手さんは、元バス会社の運転士を長く務められた方で、気さくで、ユーモアのセンス抜群、そして子どもをとても大切にされる方です。
 最初の子どもを乗せるまでに2人で話の花が咲きます。やがて、1人、2人と子ども達の数が増えていきます。車内がだんだん騒々しくなってきました。私も一度に3人ほどの子どもから話しかけられ、よく聞いて、よく返す、とても高度な対応を迫られます。対話は、子ども達の言葉の力や理解力を育てる大事な場と心得ておりますので、あだやおろそかにはできません。その昔、聖徳太子は10人の側近から話しかけられ、たちどころにそれを理解したと伝えられていますが、不肖私は、とてもその域に達することはできないと悟りました。
 10名も乗ったかなと思ったその時、ある子が、「園長先生、バスの中に虫がいる!」と叫びました。見ると、窓を一匹の羽のついた小さな虫が這っています。子どもを乗せる際、ドアを開けた時に入り込んだのでしょう。怖がる子もいるので、どうしたものかと思っていたら、私の補助席にティッシュペーパーがあるのを見つけたので、1枚取り出し、その虫を軽くつまみました。「もう大丈夫」と伝え、さてこのつまんだやつをどうしたものかと思案した末、ちょっといたずら心が起きまして、パクッと食べるふりをして掌に隠しました。すると、バスの中は大盛り上がり!「もう一回やって!」のリクエスト。もう一回やると「もう一回!」、やると「もう一回!」‥‥結局7回ほどさせられました。そろそろ打ち止めにと、「虫さん、今、園長先生のお腹の中を飛んでいるよ」と言いましたら、目ざとい女の子が「さっきポケットの中に入れたでしょ。ちゃんと見てたんだから!」とやられてしまいました。今朝のバスの中の一コマでした。
 子どもと一緒にバスを待っておられるお母さん方、この暑さの中完全装備ですっぽりと顔も隠されている方もおられて、朝から大変だなと思った次第でした。

 バスで来ない子ども達は、保護者さんが歩きか、車で連れて来られます。車から子どもを降ろして園舎内に入れ、「お願いします」と言って帰られる、ほんの5分ほどですが、その間車を停める駐車場がありません。他の幼稚園もそうだろうと推察します。朝は、登園の時間帯が各家庭によってずれるので、園に横付けしてもそう混み合うことはないのですが、降園時間は、14:30と決まっているので、一斉に横付けするのが難しい状況になります。そこで保護者の方々は、園に隣接しているスーパーマーケットの駐車場に臨時駐車をされている方が多いのです。
 ところが先日(その日はスーパーの特売日で、お客さんの車が多い中、本園の保護者さんもお迎えで駐車されたため満車状態となったようです)、そのスーパーの方が来られて、「うちの駐車場に停められるのは困ります」と言われました。駐車場は、スーパーで買い物をする方々のための駐車場でしょうから、「困ります」も分かります。このことは保護者さん方にお伝えし、「降園時は、あまり広くはありませんが、横付けが難しい時は園庭に入れて停めてください」とお願いしました。現在はそのように対処しています。しかし、狭い園庭ですので、車同士、また園庭で降園を待っておられる保護者と入ってきた車との接触事故等が起きないか、新たな心配事が増えています。
 保護者の方々には、平日・土・日、そのスーパーでかなり買い物をされている方も多いのです。スーパーも随分恩恵を受けておられるはずです。停めると言っても、ほんの数分間ですから、なんとか融通を利かせていただく訳にはいかないものか、というのが私の素直な思いです。

 ともあれ、これから2カ月近くは続くであろう酷暑の中を、涼を求める工夫をしながら過ごしてまいりましょう。いい夏をお過ごしください。今日はこのあたりで失礼します。