折々に思うこと その37 (R7 年の瀬)
2025年(令和7年)も間もなく終わろうとしています。締めくくりにあたって、この1年で私が目にしたり、耳にしたりした印象的な場面や言葉をあらためて思い返し、その中から選んだ1つをご紹介したいと思います。果たして、皆さんの心に印象付けられるかどうかは分かりませんが、どうかお読みください。そして、それぞれご感想をお持ちいただければ有難く思います。
以前に書きましたが、私は時津町のお隣の長与町に住んでおります。バス通りから折れてかなり急な坂道を300メートルほど上った斜面に我が家はあります。眺望はたいへんいいです。時津町まで見渡せます。しかし、下から歩くとはあはあ言います。家の背後はすぐ山になっており、周囲に家が7,8軒ほど、多くが斜面に建っています。その外にみかん畑やビワハウスなどがあります。田舎の風景です。
我が家の右隣にある「Yさん家族」は、昔からここに住んでおられる、いわゆる「地の人」です。おばあちゃん(私とほぼ同年代)、戸主である息子さん夫妻、3人の子どもさんの6人暮らしです。子どもさんは、小学3年生の長女さん、保育園年長の長男さん、それに1歳半ほどの次男さんという構成です。
年長の長男さんはなかなか元気で、面白いです。休日など外に出ている私を見つけると、さっと近寄ってきて「何してんの?」と必ず問います。『見れば分かるだろう』とも思いますが、知らん顔はせずに「車のお掃除だよ」とか「お庭の草取りだよ」とか「落ち葉を掃いているんだよ」などと答えるようにしています。最近は先手を打って、少年の姿を見つけるや否や、私の方から「何してんの?」と問うようにしています。少年は「いちいち聞くなよ」といった顔つきで私を見ます。『いちいち聞かれる私の気持ち、分かるかなあ』。
本論はこれからです。朝、出勤の支度をしながら、窓越しに隣家に目をやると、3年生の長女さんがランドセルを背負って玄関を出るところです。7時20分ごろでしょうか。するとおばあちゃんが少し遅れて玄関先に出られて、じっとお孫さんを見ておられます。坂道を下っていくお孫さんの姿が見えなくなるまでじっと見ておられます。この間3分ほど。最後に二人は手を振り合って別れます。実にいい光景です。これが毎日繰り返されます。私の心はほのぼのとした気分になります。これからもずっとこの光景を見続けたいと思います。
私は、このことについて、何か理屈を述べるつもりはありません。一言言うとしたら、このおばあちゃんとお孫さんを結ぶ温かい絆のようなものにじわっと感動しているということです。この二人を見つめる機会を得られたことに感謝しています。有難うございました。皆様、どうぞよいお年をお迎えください。

