【第4回】子どもの「今」を味わうことと、本当の「諦める」の意味(親野智可等先生講演会より)

「小さいうちなら直る」「鉄は熱いうちに打て」という言葉がありますが、実は最新の発達心理学ではこれが否定されています。

子どものうちは「直らない」のが当たり前

幼い子どもには「直さなくっちゃ」という強烈なモチベーション(社会的必要性)がありません。子どもが叱られて泣いて謝るのは「怒られているから困っている」だけで、将来困るから直そうと思っているわけではないのです。 大人(思春期後半以降)になってからの方が、「会社をクビになるかも」「生活できなくなる」といった切実な理由から、本気で自己改造や自己管理をする能力が働きます。

ですから、幼児期に完璧に直そうとする必要はありません。むしろ、あと先考えずにバクバク食べて、全力疾走して、爆睡する。そんな「今が一番美しく可愛らしい姿」を鬼の形相で叱って見逃してしまうのはもったいないことです。

本当の「諦める」は、ポジティブな意味

色々と工夫しても上手くいかないときは、良い意味で「諦める」ことが大切です。 「諦める」とは、仏教の言葉で「物事の真実(リアリティ)を明らかに理解し、受け入れて許す」という意味があります。子どもの存在を諦めるのではなく、親の勝手な願いや欲を諦めるということです。

諦めることの具体例 子どもがどうしても苦手でできないことは、親が一緒に手伝ってあげる。それでも無理なら、親が代わりに全部やってあげる。これが本当の「諦める」です。

「代わりにやってあげる」のは甘やかし?

「自分でやらせないと自立の妨げになる」という説は、実は根拠のない勘違いです。 できないことを叱り続けて親子関係を悪くすると、子どもの自己肯定感はボロボロになってしまいます。それよりも、代わりにやってあげてでも親子関係を良く保つ方が、子どもの自己肯定感が育ちます。自己肯定感さえしっかり守られていれば、大きくなってから「自分ならできる」と自分で自分を直していくことができるのです。

親野 智可等 先生 講演より