折々に思うこと その15

 去る6月3日(日)は、鳴鼓幼稚園のある時津町、そして私が住んでいるお隣の長与町で、年1回の「町民一斉清掃」がありました。
例年、6月の第一日曜日に実施されます。
私は、妻とともに地元長与町の清掃に参加しました。
朝8時30分から11時くらいまで、公園や側溝、道端や石垣の雑草やゴミの除去、切通しの両側から道に伸びている木の枝の伐採等が作業の対象になります。
私が、長崎市内から西彼杵郡の長与町に引っ越してきて35年ほどになりますが、中学校の教員として離島の対馬に赴任していた時を除いて毎年参加してきたと記憶しています。

 この行事に参加して得るものがいくつかあります。
1つは、清掃後の地域が見違えるようにきれいになることです。
「さっぱりしたなあ」と、2か月ぶりに散髪を済ませて理容店を出た時と同じような感覚を覚えます。
35年も住んでいると、長与町は第2の故郷と言ってもいいと思いますが、「やはり、故郷はきれいに保ちたいものだ」という思いに浸ります。

 もう1つ感じるのは、同じ地区に住んでいる人達との関係の見直しです。
私の住んでいる地区はバス道路から400メートルほどの坂道を登った所、戸数14戸の小さな地区です。
朝、ごみ出しで出会えば「おはようございます」、昼間、道ですれ違えば「こんにちは」と挨拶を交わします。
女性同士なら、しばらく立ち止まっての井戸端ならぬ道端会議が続くこともあるようですが。

 でも今、地区の方々の普段の交流はそれぐらいではないでしょうか。
例えば、毎月1回、全戸数の住民が集まって、地区の抱えている問題について話し合いをしたり、地区でまとまって季節の行事をしたり(花見だとか盆踊りだとか)、そういうことはもうありません。

 年1回の総出の地区清掃は、普段希薄になりつつある住民同士の関係を補完する大事な場だなと感じます。
結構な人数が出て清掃をしますので、手を動かしながら話の花が咲くのです。
「最近見なかったねえ」、「元気にしとった?」、「どこか体でも悪かったんじゃないの?」等々の、いわば雑談ですが、同じ地区の方々との会話が希薄になっている昨今、これは結構大事だなあと思うのです。
いろんな方とざっくばらんな会話(世間話)を交わすとなぜか心が柔らかくなります。「この作業に出てよかったなあ」と、終了後汗を拭きながら思うのです。
会話を交わすことは大事なんですね。
1年ぶりに話す人もたくさんいます。
その人達と改めて心が繋がったような気分になるのです。
地区の行事がほとんどない現在、この一斉清掃は大切にしようと思います。

 今朝、バスで登園した園児達数人から、「後で保育室まで来てね!」と玄関先でお誘いを受けました。
たいへん嬉しいことです。
でも、その日は都合が悪く、2階の年長さん達の保育室まで行けませんでした。
降園の時、朝方、私を誘ってくれた園児達から「なぜ今日は来なかったの?明日来なかったら2億円だよ!」と脅されました。
大事な会話の約束(一方的な約束ではありましたが)を破った代償はとてつもなく高いようです。
明日は2階に上ろうと思います。失礼します。