折々に思うこと その13
あれよあれよという間に2024年度がスタートしました。
「春に三日の晴れなし」というように、今年は3月から4月にかけてよく雨が降りました。この原稿を書いている日も、前夜からかなり強い雨が降り、朝起きると、桜や桃の花がほぼ散ってしまっていました。
園長にとっては、この日は降らないでほしいと願う雨もありますが、自然に生きる草花や樹木にとっては、それぞれの雨が慈雨なのでしょう。
園庭を見ますと、花壇のチューリップが、これ以上はだめだというほど花びらを開いて、自分たちを主張しています。
控えめにそっと咲く花も風情があっていいものですが、チューリップのように精一杯自己主張する元気な花も、私たちに喜びを与えてくれます。
本園では、去る3月14日に39名の卒園児達が、修了証書を胸に抱き、爽やかに巣立っていきました。
現在は、保護者の皆さんの多くが3年保育を希望されます。
3年前は、朝、ママに連れられて登園しても、「部屋には入らない!」とか「ママがいい!」と玄関先で泣きじゃくっていた子ども達が、緊張する雰囲気の中で自分の名前を呼ばれると「はい!」と大きな声で返事をして、壇上で私から修了証書を受け取って自席に戻っていきます。
一連の動きにもメリハリがあります。
子ども達の、この立派な態度を見ますと、「3年間の歩みは大きいなあ」という感慨に浸ります。園長の醍醐味でしょうか。
卒園児の中に、この動きができるだろうかと心配したお子さんがいました。
いわゆる緊張しいで、衆目にさらされるのが大の苦手。
これまでの「誕生会」や「おゆうぎ会」でも、他の子に倣った動きがなかなか難しかったのです。
担任も卒園式の数日前から不安が募り、まず式の会場に入れなかったらどうしようか、返事ができなかったらどうしようか、壇上まで行けなかったらどうしようかとマイナス思考に入ってしまっていました。
私は、「当日は大丈夫。クラスの友達の凛々しい態度を見たら、自分も同じようにやらなくちゃと思うよ」と励ましました。
果たして、当日は堂々とした態度で証書を受け取ることができました。
担任と保護者さんの安心と喜びはひとしおのものがあったことと思います。
卒園おめでとう!
園長式辞の中で、私は次のようなはなむけの言葉を贈りました。
「さあ、みなさんは4月からいよいよ小学生です。新しい友達ができますね。早く仲良くなって、嬉しいことや楽しいことにたくさん出会ってください。そして、そうでないことにも時々出会ってください。そんな出会いが、みなさんの心を大きく、柔らかく、温かくしていってくれます」。
一歩世の中に足を踏み出す彼ら・彼女らに幸多かれと心から祈ります。
そして、新年度、4月9日には新たに40名の園児が入園してきました。
ママと手を繋いで神妙な顔をしての登園。
しばらくは、玄関先も賑わうことでしょう。
1年のスタートです。
いろんな出会いやハプニングに遭遇することを期待して、園長の醍醐味をまた味わわせてもらいたいと思っています。
今日はこのあたりで失礼します。